媒介契約
家を売るとき、不動産会社と結ぶ媒介契約は3つのどれ?——宅地建物取引業法は、専任なら3か月まで・報告は2週間に1回以上と決めている
家の売却を不動産会社に頼むとき、どの契約を選べばいいのか迷う人は多いはずです。宅地建物取引業法は、1社だけに頼む「専任媒介契約」について、有効期間を3か月までとし、売れ具合の報告を2週間に1回以上と決めています。
この記事を読むと、3つの媒介契約で何が違うのかと、契約書を受け取ったときにどこを見ればいいかが分かります。
・ほかの会社にも重ねて頼めない契約が「専任媒介契約」。有効期間は3か月を超えられない
・専任媒介契約は、指定流通機構への登録(7日以内)と、2週間に1回以上の報告が決まっている
・自分で見つけた相手とも契約できない特約つきの「専属専任媒介契約」は、登録が5日以内・報告が1週間に1回以上
媒介契約には、どんな形があるの?
ほかの会社にも重ねて頼めるかどうかで分かれます。第34条の2は、重ねて頼むことを禁じる媒介契約を「専任媒介契約」と呼んでいます。
依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(以下「専任媒介契約」という。)の有効期間は、三月を超えることができない。
専任媒介契約のなかでも、会社が探した相手以外とは契約できない特約を含むものを、施行規則は「専属専任媒介契約」と呼んでいました。重ねて頼むことを許す形については、条文に呼び名は書かれていません。この記事では「重ねて頼める契約」と書きます。
専任媒介契約を結ぶと、何が決まっているの?
有効期間と、登録と、報告の3つです。有効期間は3か月が上限で、長く書いてあっても3か月として扱われます。
これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。
有効期間は、依頼者から申し出れば更新できると第4項に書かれていました。更新したあとの期間も、3か月を超えられません。
会社の側には、買い手を探すための登録の義務があります。第5項は、専任媒介契約を結んだ会社に、国土交通大臣が指定する「指定流通機構」への登録を義務づけていました。登録の期限は、施行規則が専任媒介契約で7日、専属専任媒介契約で5日と決めていました(条文は表のあとに引いています)。
この日数には、休業日を数えないと同じ条の第2項にありました。土日が休みの会社なら、カレンダーの7日より後になることがあります。登録をしたら、登録を証する書面を依頼者に引き渡すことも第6項の決まりです。
報告の頻度を決めているのは第9項です。専任媒介契約では、業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければなりません。専属専任媒介契約にあたる特約つきの契約では、1週間に1回以上です。
この報告は、買いたい人から申込みがあったときの報告とは別のものです。申込みの報告は、どの形の媒介契約でも求められます。第9項は、それに加えて定期の報告を求める項です。
結んだ契約の中身は、書面で受け取れます。第1項は、会社に、媒介契約を結んだら遅滞なく書面を作って依頼者に渡すよう求めていました。書面に書く事項には、有効期間と解除、指定流通機構への登録、報酬が入ります。
3つの契約で、何が違うの?
有効期間・登録・報告の決まりが、形によって違います。第34条の2と施行規則第15条の10に書かれていることを並べました。
| 見る所 | 重ねて頼める契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| ほかの会社にも頼めるか | 頼める | 頼めない | 頼めない |
| 自分で見つけた相手と契約できるか | この条文には書かれていない | この条文には書かれていない | できない特約を含む |
| 有効期間 | この条文には上限が書かれていない | 3か月まで | 3か月まで |
| 指定流通機構への登録 | 第5項は専任媒介契約について定めている | 7日以内(休業日数は数えない) | 5日以内(休業日数は数えない) |
| 業務の処理状況の報告 | 第9項は専任媒介契約について定めている | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 申込みがあったときの報告 | 遅滞なく | 遅滞なく | 遅滞なく |
施行規則の条文は次のとおりです。
法第三十四条の二第五項の国土交通省令で定める期間は、専任媒介契約の締結の日から七日(専属専任媒介契約にあつては、五日)とする。
申込みの報告を求める第8項は、媒介契約の形を分けていません。
媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあつたときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。
契約書にちがう日数が書いてあったら?
法律より依頼者に不利な特約は、無効です。第10項は、有効期間・登録・報告などの項に反する特約を無効と定めていました。
第三項から第六項まで及び前二項の規定に反する特約は、無効とする。
会社が売り出し価格について意見を言うときには、根拠を示す決まりもあります。
宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
媒介契約の書面を受け取ったら見る所
- 重ねて頼める契約か、専任媒介契約か、専属専任媒介契約か
- 有効期間が3か月を超えていないか(専任の2つの場合)
- 指定流通機構への登録について書かれているか
- 報酬について書かれているか(上限は仲介手数料の記事)
- 売り出し価格の意見に、根拠が添えられているか
まとめ:あなたの場合はどれ?
- いくつかの会社に並行して頼みたい:重ねて頼める契約。有効期間や定期報告の上限・頻度は、第34条の2には書かれていません
- 1社に任せて、定期の報告を受けたい:専任媒介契約。報告は2週間に1回以上、登録は7日以内
- 1社に任せ、自分で相手を探すつもりもない:専属専任媒介契約。報告は1週間に1回以上、登録は5日以内
- 住まなくなった家を売る:税の特例の期限は3,000万円の特別控除の記事を先に
こんなときは、この記事の話と違う
- 家を貸すための仲介:第34条の2は「売買又は交換の媒介」の決まりです
- 売ったあとの税を知りたい:この記事は媒介契約の条文だけで、税の特例は3,000万円の特別控除の記事で扱っています
よくある質問
専任媒介契約を3か月で終えたいときは、どうなるの?
有効期間は、依頼者の申出で更新できると第4項にあります。申し出なければ更新されるとは書かれていませんでした。解除について書かれた事項は、第1項が書面に書くよう求めている項目の一つです。
指定流通機構とは何ですか
第5項は、国土交通大臣が指定する者を「指定流通機構」と呼んでいます。この記事で読んだ条文は、登録の期限と中身までで、機構の名前や使い方には触れていませんでした。
出典
- 宅地建物取引業法 第34条の2(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176
- 宅地建物取引業法施行規則 第15条の9・第15条の10(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50004000012
契約の前に、受け取った媒介契約の書面の中身をあわせてご確認ください。
上の出典を引いて確かめた日: